BUESCHER Aristocrat - series IV "Selmer" (1963-1983)

1963年2月1日、ビッシャー・バンド・インストゥルメント社(The Buescher Band Instrument Company)は、その在庫、製造用工具、工場スペース、販売契約を含めて、H & A セルマー社に買収されました。

この買収の主な理由の一つは、セルマー社がサクソフォン製造事業への本格参入を計画していたことにあります。ビッシャーの工場はすでにサクソフォンの製造設備が整っており、1920年代から続くビッシャー・サクソフォンの広告活動や、積み上げられた**ブランドの信頼(グッドウィル)**もありました。さらに、販売代理店ネットワークがすでに確立されていたため、1963年当時のビッシャー事業は、セルマーにとって“即稼働可能(ターンキー)”な体制だったのです。

また、セルマー社の経営陣と株主は積極的な企業買収モードにありました。それ以前にも、

  • 1959年:Harry Peddler & Sons を買収

  • 1961年9月:Vincent Bach Corporation(ニューヨーク州マウントバーノン)を買収

といった買収を進めていました。


ビッシャー買収後も生産はほとんど中断されることなく継続され、セルマーはビッシャー工場のほとんどの作業員をそのまま雇用しました。

買収後に製造された**“セルマー時代のビッシャー・サクソフォン”は、実質的にはセルマー・バンディ(Bundy)シリーズと同等の楽器**です。Bundyシリーズは同時期に市場に出され、多くの部品や製造ラインをビッシャーと共有しながら、並行して製造されていました。

 

出典:Saxophone Mueum